わたしの作品では通常より土台を非常に固く作ります。さらに植毛に羊毛よりも手触りが良くフェルト化しにくい 太くこしのある獣毛 を植え付ける事で、お手入れの為のブラッシングや撫でて可愛がるといった行為にある程度耐えうる作品を開発しました。

土台を固くするのは、通常よりも手間がかかる作業となりますが、作成中に型くずれし難くなり長期保存でも変形しにくくなるという利点が有ります。

羊毛よりも太い獣毛を土台から抜けないように植え付けるためには、通常は仕上げに使う極細のニードルをメインに使用し、何度も刺し付けなければならないので、固く作った土台とは言え形が変形しやすく作成の難易度が上がります。

さらに極細針は、形成できる範囲が狭いので手数が増えどうしても完成までの手間が増えます。また過剰に針を刺しすぎると土台の羊毛が内部で細かく切れてしまい、いくら針を刺しても羊毛同士が絡むことが無く形をかえることのできないフカフカの状態になってしまうという現象が起き、こうなってしまうとリカバリーが大変難しく注意が必要です。

こうした過程を得てしっかりと植え付けた毛は、目の細かな“まつげコーム“で何度もとかし、遊びの毛が抜けなくなることを確認するまで行います。

こうして作り上げられた肖像は、通常の羊毛フェルトのゴワゴワした質感は全く無く、本物の猫のような柔らかな毛質に近い肌触りとなります。

ですが、この作成方法は難易度が高く製作期間も長くなってしまう事から、現在、ニードルフェルトの基本的な考えを応用しつつ、歯科技工の技術などを取り込んだ全く新しい作り方を開発中です。

この方法では、制作過程で本物のペットに施すようにシャンプー、リンス、ドライヤーで毛並みを整えるといった羊毛フェルトではとても考えられない手順が入ってきます。

ですが、まだ細部の表現において課題が残されているため、現段階では大々的な発表まで至っておりませんが、近日中にこちらでご案内できるよう誠意努力しております。またこのプロジェクトの目標は、CTO(注文仕様生産/custom to order)にて、お客様のペットの肖像をリアルに再現し、特にペットロスなどで悲しまれている飼い主様へ癒やしをお届けすることです。

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